唐突ですが、ワーキングマザーの夫です。
先日のアンティークジュエリー、ハイジュエリー、メンテナンス危機⁈ の後編です。
さて、本題です。
現在、ヨーロッパの宝飾ブランドの多くはリシュモンなど投資家グループの傘下にあります。投資家にとっては効率性、利益率を高めることが大切で、10年程前の3Dプリンターの実用化は朗報だったと思われます。
現在、ハイブランドのジュエリーも3Dプリンターで原型を低コストで製作し、ロストワックス製法などを用いた鋳造で量産されているそうです。
これにより、地金の線材、板材から細かな部品を削り出し、叩き出し、ロウ付けをするような熟練の職人が職を失っているそうです。宝石の石留めも機械を用いることが増えてきており、それらが品質低下を招きかねません。
鋳造は内部に空洞ができやすく、地金を削って成形するのと比べ、強度が劣ります。機械による石留めは、宝石を留める高さを予め決めてしまうので、想定以上に背の高いプロポーションの石は、既にカットが施されているにも関わらず、高さを合わせる為に下側を削って(!)しまうそうです。 (注、天然石はカット後のカラット(重さ)が同じでも微妙に上からの投影面積と高さが異なります)
当然、光の内部反射は理想から外れ、ダイヤモンドの場合、上から見ると白く濁っているのが小学生でも見て分かるそうです。また、機械による石留めは力加減の調節が手作業ほど繊細にはできないので、石を外すと大きな傷がついていることが多いそうです。
結果、新しく作製されるハイジュエリー(?)の品質は低下傾向にあり、一点物のジュエリーを手作りする熟練の職人も若手の職人も減っており、ヨーロッパでは歴史的価値も高いアンティークジュエリーのメンテナンスが出来なくなるのではとの危機感が高まっているそうです。
個人的には世界中でもっと職人へのリスペクトと待遇の改善が図られたら良いなと思います。甚だ微力ですが、自分が買い物をする場合は、出来るだけ職人の手仕事の品物を購入し、正当な対価を払うことを心掛けています。
下の写真の腕時計は、gataさんという、オリジナルの時計ケースを手作りしている作家さんに作って貰ったものです。
共にクラウスと言うモデルです。銀ケースと真鍮ケースの2種類あります。
真鍮ケースの方の盛り上がった風防ガラスは趣味でガラス工芸をされている方から偶々入手して作製できたとのこと。(銀ケースのクラウスは試作品を譲ってもらった為、盛り上がった風防ガラスはついていません)
現在、そのガラス作家さんは本職の会社勤めで海外勤務中だそうで、風防ガラスが手に入らず、作製出来ないそうです。
クラウスはgataさん本人もとても気に入っているそうで、是非、作製を再開できるよう願っています。