渋谷神南にあるお店「milok(ミロック)」にかかわるパタンナー「安島正二」さんのちょっと良い話

唐突ですが、ワーキングマザーの夫です。

先日、渋谷神南のmilokを紹介しましたが、↓

今日はミロックに関わっているひとりの職人さんをご紹介したいと思います。

安島正二さん、パタンナー

大手セレクトショップのオリジナルデザインのパターンも数多く手掛けてきたベテランです。ご自身でもcopano86というブランドをやっており、欧州のコレクションにも作品を出していました。↓(安島さんがデザインした服。黒の春夏用ジャケットは麻の一種ラミーにリネンの白い裏地付き。ラミーは絹のような光沢で通気性、紫外線吸収率が特に高く春夏に最適。このジャケットのラミーはオーガンジーように裏地が透けるので、黒なのに春の雰囲気。ミロックのデザイナー島田さんもこのアイデアにはやられたと唸ってました。グレーのコートは袖をまくると、、襟を立てるとやわらかいラム革が!)

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19世紀の服飾に関する書籍や現物から、優れた機能やモチーフを現代の服作りに取り入れています。

作られる服は基本的には量産品ではない、コレクションレベルのとても凝った作りのもので、欧州のセレクトショップからも引き合いがありますが、残念ながらビシネスとしては厳しいようです。ブランドとして認知されるのはどこの世界でも大変です。

欧州でも伝統的なハイエンドの客層は減っており、新興の富裕層はモノの中身よりやはり名前に惹かれるようです。

さて、その安島さんですが、数ヶ月前、Jetroのお誘いでニューヨークで作品を3日間紹介する機会がありました。なんとその会場にリバティーニューヨークの会長さんが現れ、安島さんの作品をたいそう気に入り、3日間通いつめ、リバティーの紳士服の上級ラインのデザイン、パターン作りに安島さんが参画することになりました。安島さん自身のcopano86も取り扱ってもらうことも協議中との事です。マンハッタンは目の肥えた富裕層がとても多いので、ラルフローレンでは普通過ぎてつまらないと思っている客層に嵌ると思います。

まさにアメリカンドリームですね。自分の信じる道をぶれずに続けていると、いつか唯一無二の本物となり、本物を知る人に認められる。素晴らしい‼︎

ただ、安島さんは英語が得意ではないので、コミュニケーションがカギになると思います。服飾の歴史、ビンテージの知識もある優秀な通訳を探す必要があります。また、契約面も含め、ビシネスをサポートする人がいた方が良いと思います。

私は90年代、仕事でニューヨーク、ボストンにいたことがありますが、アメリカでは英語をちゃんと話せないと教養、能力がないと思われてしまい、苦労しました。また、アメリカは契約社会なので、契約書の精査はマストです。

安島さんとmilokとの関係ですが、milokが外注しているパタンナー が安島さんのお弟子さんで、両者は協働関係にあります。milokでは安島さんの年2回の新作の受注会も開催され、過去の試作品などの即売会もやってます。

安島さんの服の特徴ですが、前述の通り、基本はビンテージテイストですので、機能、装飾が盛りだくさんです。現代のシンプル、ミニマムテイストではないので、どちらかと言えば、さんざん色々な服を着てきた中高年向きです。生地も絣や藍染の麻など、日本にしかないものや、毛織物も機屋さんの倉庫に眠っていたビンテージが中心です。縫製も試作品は舞台衣装を手掛ける職人さんにお願いしているので、手縫い箇所満載で、着心地が全く違います。20世紀初頭のテーラードのような丁寧な作りです。

女性でも体が大きめのであれば、着られるサイズ、デザインの物もあります。是非、一度見られてはいかがでしょうか。